2016年8月17日水曜日

最新ネットランナー環境解説①

お久しぶりです!

宣伝


まずは宣伝ですが、2016年8月27日()に東京の新宿にて最大規模のネットランナーイベントJapan Netruner Summit 2016を開催します!

詳細については http://twipla.jp/events/214605 を参照してください

一つは日本で開催されないNationals&Regionals規模を目指した、全拡張で戦えるトーナメントです。私に出来ることは遠征する気になるようなお土産を用意することぐらいですが、普段身内でプレイしている方もお祭り気分で気楽に参加してもらえるように盛り上げていきたいですね(^-^)

もう一つは日本語版が発売されたけれどもプレイ機会がない初心者向けの交流会です。ボードゲーム繋がりでネットランナーを始める方が多く、大会という形式よりは気楽な方が良いという声があるため、インストやルールの確認、同じようなレベル同士でのプレイという形でハードルの高いゲームに慣れてもらう機会になればと考えています。デッキの貸し出し(日本語、英語両方)もできますので、手ぶらでも参加可能です!

環境の変遷


これからネットランナーを始める人やトーナメントに参加する方向けに、これまでのネットランナーの環境がどのように遷移してきたかを簡単に解説したいと思います。

コアセット (Worlds Championships 2012)

チャンピオン: Jeremy Zwirn
コーポ: Weyland Consortium: Building a Better World
ランナー: Gabriel Santiago: Consummate Professional

コアセットのみの環境はランナーはGabrielが最強と言われています。実際にクレジットを増やすカードが少ないため、イベントカードでクレジット差関係なく攻めることができることが大きいです。(Account Siphonのパワーは言うまでもない)
コーポに関してはNBNがこの時点から既に大人気ではありますが、ランナーがGabrielに寄っているため、ランを止めやすくSiphonを打ちづらくさせるWeylandはメタとして機能しています。

〜 Opening Moves (Worlds Championships 2013)

チャンピオン: Jens Erickson
コーポ: HB: Engineering the Future
ランナー: Andromeda: Dispossessed Ristie

環境はランナーはAndromeda一色と言えるほどでした。Creation & Controlの大拡張によりランナーのクレジットカードが増えたことや、NBNのFAデッキがコーポの大半であったために、消去法でもAndromeda以外では対抗が出来ない時代でありました。
3/2アジェンダが出たことでFA一強になり、R&D Interfaceなどマルチアクセスカードが登場したことで、コーポは後半不利(というか勝てない)になりました。

〜Up and Over (Worlds Championships 2014)

チャンピオン: Dan D’Argenio
コーポ: Jinteki: Replicating Perfection
ランナー: Andromeda: Dispossessed Ristie

Honor & Profit大拡張によりJintekiのカードとCriminalのカードが一挙に増えました。結果としてNBN(Near Earth Hub)のFAとJinteki(Core + RP)の2大勢力となりました。NBNはArchitect+Eli 1.0というコスパ最強ICEで固めて中盤までに勝ち切るデッキ、一方Jintekiはネットダメージでフラットラインを狙うタイプとglacierと呼ばれる重いICEを重ねて後半に勝ち切るタイプがありました。Ash 2X3ZB9CYとCaprice NiseiはFA以外でスコア勝ちを目指すための必須アイテムとなりました。
ランナーはAndromeda一強(FAが大半を占めたこと)で、Jinteki RPは相対的なメタとして勝ち抜けました。初期のネットランナーはプレイングの巧さが勝敗を分けていましたが、ここら辺からメタゲームを勝ち抜けることが重要となっています。実際に3位のTimmyは唯一Weryland(Blue Sun)を上位に残すことに成功しています。(glacierデッキで、Andromedaメタになっている)

〜 Data and Destiny (Worlds Championships 2015)

チャンピオン: Dan D’Argenio
コーポ:  HB: Engineering the Future
ランナー:  Valencia Estevez: The Angel of Cayambe

Order & Chaos大拡張とSanSanサイクルによるAnarchのテコ入れにより、青い環境から赤い環境へと変遷しました。ClotというFA対策カードが出たことで一時代を築き上げたNEHは勝ちきれなくなり、上位はEtFが大半を占めることになります。Global Food Initiativeのおかげでコーポは3枚スコアすれば勝ちで、ランナーは4枚という勝利条件の変化が起きたことが大きいです。ShaperはTuringを2度突破する力がなく(※ AshやNiseiによりランが終了した場合)、D4v1dを持つAnarchだけがEtFに優位に戦える色でした。
そして異質なランナーデッキが優勝を遂げます。所謂DLR(Data Leak Reversal)というタグを持っている時に使えるクリックで1枚R&Dを削るカードを使って、デッキを落とし切るミルデッキです。リソースを守るカードが出たことや、ミートダメージ対策の新しいカードなどによりフラットライン型のNBN(NEH)をカモにしました。

まとめ


トーナメントという観点から見ると、カードの枚数より質がどれだけ強力に作用するかが見て取れます。NBNはコアセットと強力なID1枚で長い時代トップでしたし、Adjusted Chronotypeのように相棒が出たことで劇的な変化をもたらしたカードもあります。
面白いのは、事前予想にあるような環境で一番多いデッキ(Tier 1)が優勝しているのではないということでしょう。ネットランナーは非対称のゲームなので、まずランナー側が強いのかコーポ側が強いのかでメタの中心が違います。実際にAndromeda時代にはコーポのデッキタイプは複数上位に存在していますが、これは裏を返すとどれを取っても勝敗に大差がない状況を意味しています。逆にコーポのデッキタイプが少ない時(NEHやEtF)は、ランナーのデッキタイプが豊富です。
にも関わらず、優勝するのは上位の構成とはかなり外れたデッキなのです...特異な非対称なデッキによるダブルイリミネーションが裏切りを優位にしているのかも知れませんし、プレイングでは埋められない溝を構築で賄うしかないのかも知れません。

因みに、現在はAnarch Whizzard一強/コーポはアセットスパム(CTM/GI/Gagarin)の時代です。次回はこの1年での環境変化について詳しく見ていこうと思います(^-^)/