2015年11月19日木曜日

ネットランナー Jackson Howard 必要論

気づくと自分でもおかしなぐらい「Jackson Howard入れろ」と連呼していますが、Opening Movesがコレだけ品薄になる理由があると思うのでちょっとだけ語りたいと思います(^_^)

1. ゲームの基準ターン


簡潔に説明するのは難しいですが、ネットランナーのコーポがスコア勝ちするためには10ターンは必要で、平均的には12ターンぐらい要します。その理由は

A) 7点のアジェンダのスコアに必要な最小アドバンス数は11なので、11クリック+11クレジットを消費する

B) 49枚20点のデッキで7点分のアジェンダを手にいれるためには17枚カードを引く必要があって、初期手札を除いて12枚はドローしなければならない

この2つの理由から、コーポは余程都合のよい偏りがない限りはスコアするだけの行動で8ターンは消費します。実際はICEをインストールしたり、オペレーションをプレイしたり、ランナーの妨害にあったりと色々あるので平均的に12ターンは経過します

一方、コーポの有利ターンは中盤しかありません。序盤はICEが少なく突破されやすく、スコアするためのクレジットも少なく、スコアしたいアジェンダを持っていないなどランナーが有利です。終盤はランナー側のクレジット獲得手段の方がコーポに比べて圧倒的に優れているので、前のめりなデッキでない限りはランナーがランを通し放題なので有利となります

こういった事情で限られたターンの間にコーポは勝たなければならないのですが、クレジット獲得効率を上げるカードは色々あるものの、アドバンス効率やドロー効率を上げるカードは殆どありません。ドロー効率を上げる要素がNBNとHBにしかなく、一回しか使えないオペレーションを除けばJackson Howardしかないのが現状です。できるだけ有利なターン中にアジェンダを持ってきたり必要なクレジットを用意するために「: カードを2枚引く」が必要だと言えます

2. 引きの偏り


コーポは単純にどのアジェンダも手元にきたときに仕掛けられる訳ではありません。ランナーはアドバンスが見えたケースでは、およそ確信を持ってランを通せるからです(例えば、StimhackInside Jobなどのイベントをプレイするなど)。5/3アジェンダなどはアドバンスコストが高く、スティールされた場合は点数以上にアドバンスが無駄になったダメージの方が大きくなります

どのファクションも3/2アジェンダを先にスコアしたいですし、5/3アジェンダはICEやクレジットが揃ったタイミングで欲しいので、自ずとアジェンダが必要なタイミングが決まります。こういう理由でカードを多く引きプレイ順を制御できるようにすることが、コーポにとっての課題となります

カードを多く引けばアジェンダの点数はデッキの構築制限で決まっているので自然と溢れます。今のところアーカイブを鉄壁にする方法はないので「R&Dに3枚カードを戻す」2番目の能力は、それがアジェンダ限定であっても良いので欠かせない存在となります

全部3/2アジェンダでデッキが組めるとか、4/2アジェンダは3/2アジェンダと比べて次のアジェンダのスコアのしやすさを10倍にしてくれるなどの状況にならない限りは、こうしたアジェンダの引き順を補正できるカードは欠かせないでしょう(言うまでもなく、アジェンダ自体を偏って引いた場合は特に重要です)

3. デッキ破壊対策(Mill/ミル対策)


カードゲームに様々な争点(または勝ち方)があるのは良いと思うのですが、現状コーポがアジェンダをアーカイブに落とされると為す術がありません

コアセットにNoise: Hacker Extraordinaireというデッキを落とすIDが居ますが、アーカイブを守っていたらスコアするための準備が遅れますし、実際問題としてHades Shardがある今はランをする必要もありません。カード1枚あたりのアジェンダ点数の期待値は20/49なので10枚落ちると4点計算ですから、素直にミル(注: デッキを落とすこと)されると他のデッキに比べて少ない駆け引き(ターン)でコーポは勝負することになります

最近ではData Leak ReversalWireless Net Pavilionで守って削りきるミル専用デッキなども台頭してきたこともあって、これらの特定のデッキ対策としてもJackson Howardは必要と言えるでしょう(ちょうどScorched Earthデッキに対するPlascrete Carapaceのようなものです。有れば勝てるかも知れないが、なければ即負けなので)

4. まとめ


カジュアルでも、トーナメント(大会)でもゲームの設計から言ってJackson Howardを超える価値のあるカードは少ないでしょう。要素ごとに替えの効くカードはあるので、全体を調整をしたり(色々と諦めれば)すれば何とか出来なくはないですが、スキル以上に運が必要となることが殆どかと思います

入手難なので大会などでもJackson Howardに関してはプロキシで何ら問題はないと思いますが、柏木シティグリッドにお越しの方で持っていない方にはOpening Movesをお譲りしますので是非大会にお越し下さい(^o^)b

2015年11月9日月曜日

ネットランナー 世界大会 2015 の感想&解説

いやー今年もネットランナー世界大会がやってきました!

まだ動画を見てない or 結果を知らないという方はTwitchの録画を見てください!ゲームを知らなくても楽しめると思いますよ(^o^)b

注) 準決勝は2:45:00から、決勝は3:38:00ぐらいとなっています

2015年11月4日水曜日

[最新版] ネットランナー購入ガイド

アンドロイド: ネットランナー(Android: Netrunner)をこれから始める人向けに、どういう順番で集めるのが効率的かプレイヤー目線でまとめてみました

全部でいくら?


最初に0からガチで全部揃えるのに掛かる費用の方を説明しますと、海外通販を利用しておよそ6万円掛かります(コアセットx3、小拡張x24、大拡張x4)

一括で購入した場合の送料込みの1個あたりの費用は

コアセット = 5,526円
小拡張 = 1,284円
大拡張 = 3,170円

となります

最も送料込みで安いのはBookDepositoryで、コアセットは4,500円程度、大拡張は3,000円、小拡張は同程度となります(正直に言えば、BookDepositoryの値段は破格なので基準にしない方が良いと思います...少なくとも最新パックの入荷は遅いので、それをどう捉えるかですが)

流石に6万円で一気に全部を揃えるのは難しいでしょう。ゲーム性やデッキの強さを考慮して、次に説明するおすすめパックのみを購入すれば、全体の7、8割の部分は押さえた上で費用も半額で済みます。ガチ勢目線のパック評価を紹介します

これは押さえたい!必須パック


全部揃えるのは余程気に入ったときで良いと思いますが、 人気が高すぎて入手難のパックが少数存在します。これらのパックはゲームの不具合を解消するレベルのカードが入っているので、見つけたらまず買って下さい。お願いしますm(_ _)m

  1. Creation And Control 大拡張 (ランナーのクレジット源のリソースカード、Shaperのサーチ、リアニメイトカードなど、どのデッキにでも入るカードが複数入っています)
  2. Opening Moves 小拡張 (JacksonHowardというコーポに必ず入る、引きの偏りというゲームの不具合を解消するカードが収録されています)
  3. Future Proof 小拡張 (パワーカードが目白押し、コスパ最良のパック)
ガチ勢目線から見て、これらは所謂「はじめようセット」とも言える内容で、コアセットが強いと言われるネットランナーの中でも、平均的にコアセットの価値を上回っている数少ないパックになります

これらのパックが半年以上ぶりに並んでいる「」が、本当の意味で始めやすいタイミングです。お見逃しなきよう!


大拡張を揃えよう


ゲームの拡張という意味では、大拡張が陣営ごとに用意されているので最もコスパが良いパックとなります。特に好きな陣営がないのであれば、カードパワーと利用頻度(利用しやすさ)の順では次の通りです
  1. Creation And Control (HB vs Shaper) (☆☆☆☆☆)
  2. Order And Chaos (Weyland vs Anarch) (☆☆☆☆)
  3. Data And Destiny (NBN vs Neutral) (☆☆☆)
  4. Honor And Profit (Jinteki vs Criminal) (☆☆☆)
2箱欲しいレベルのパックはCreation And Control大拡張だと思うのですが、いづれもカードプールの拡充やゲームの面白さという点では大きな差もなく、安心して揃えられる内容だと思います。何より対戦パックのような構成なので、買って直ぐに遊べる安心感がありますね

小拡張を揃えよう


ネットランナーも3年が過ぎて、サイクルで言えば4サイクルリリースされました(Genesis、Spin、Lunar、SanSan)。1サイクル6パックで、計24パックとなります

パックの設計が(ずるいぐらいに)うまいので、どのパックにも欲しいと思うカードはあるのですが、敢えてゲーム環境目線から見た場合の順列をつけるなら次のようになります
  1. Genesis
  2. SanSan
  3. Spin
  4. Lunar 
解説をしましょう

Genesis サイクル

ネットランナーの最初のサイクルであるGenesisサイクルは、この後に出る拡張の原型となっています。端的に言えば、単純で強いカードの目白押しです。これらのパックが出たときには利用価値が少なかったカードでも、後に出たカードによって意味を成すようになっています。新しいSanSanサイクルでは、単独で意味がないカードがまだ幾つもあるので、そういう意味でも外れがないと言えるでしょう

このサイクルで押さえて欲しいのは、3/2アジェンダというコーポのカード群です。ネットランナーのゲーム性から言って、ランナーにアジェンダであることを確定させないでスコアできるという意味で強すぎたのか、このサイクル以降全く登場しません。逆に言えば、コーポはこの3/2アジェンダが基準のゲームになっているので、あるとないとでは大きな差があります
  1. Future Proof (☆☆☆☆☆)
  2. What Lies Ahead (☆☆☆☆☆)
  3. Cyber Exodus (☆☆☆☆)
  4. Humanity's Shadow (☆☆☆☆)
  5. Trace Amount (☆☆)
  6. A Study in Static (☆)
Trace AmountやA Study in Staticはコンボパーツとしては見所がありますが、汎用性やパワーカードという点では劣っています。他4つは、以降で紹介するどのパックよりも価値があると考えてもらって構いません

SanSan サイクル

新しいモノは誰にとっても魅力があると思いますが、別の魅力としてゲームバランスの修正を目的としたカードパワーによる調整が図られたサイクルになっています。そのため「使える」カードが多いので、とてもコスパが良いと言えます

このサイクルで押さえて欲しいのは、ICEとパワーカードです。Cortex Lock/Crick/Gutenberg/Meru Mati/Turing/Spiderwebは、相対的に優れていてコーポの序盤から中盤のICEとして幅広く採用されています。しばらく存在しなかったメタとしてのカードのClot/Film Criticや単純パワーカードAdjusted Chronotype/Breaker Bay Grid/Faust/Marcus Batty/Street Peddler/DDoS/Team Sponsorship/Genetics Pavilionなど、デッキを選ばずに入ります。気づくと思いますが、AnarchとJinteki/Weylandのパワーカードが多いです(一方でCriminalには恩恵ゼロのサイクルですが...)
  1. Breaker Bay (☆☆☆☆)
  2. The Valley (☆☆☆☆)
  3. The Underway (☆☆☆)
  4. Old Hollywood (☆☆☆)
  5. The Universe of Tomorrow (☆☆☆)
  6. Chrome City (☆)
使えるカードの多さで☆の数を変えていますが、Chrome City以外は好きなカードが入っているものから揃えれば良いでしょう。SanSanサイクルからテーマに沿ったカードの収録になっているので、ゲーム性の拡張としては個別に考えやすく導入もしやすいでしょう

Spin / Lunar サイクル

試行錯誤の表れなのか、立ち位置が微妙な2サイクルとなります。テーマ性のあるカードがパックに分散して配置されているため揃えないと価値がなかったり、メカニズムのあるカードがパックに集中していたりと評価が難しいサイクルとなります

2サイクルまとめて評価をします
  1. Opening Moves (☆☆☆☆☆) JacksonHowardだけで買い。オマケでCelebrity Gift/Grim/Hostage/Lockpick/NEXT Bronzeも付いてくる!
  2. All That Remains (☆☆☆☆) カウンター消費型ICEブレイカーはデッキ構築の選択肢を広げてくれる。優秀アセット群
  3. Double Time (☆☆☆☆) Caprice Nisei/Lucky Find/NAPD Contract/Quandaryは優秀過ぎる
  4. The Spaces Between (☆☆☆) Cache/D4v1dとカレント群
残りのパックは☆で言えば、☆か☆☆といった所です。優秀なICEはどのデッキにも入りますが、それでゲーム性が大きく変わるというものではないですし、他はうまく利用するためには相方が必要なカードが多く、コスパは決して良いとは言えません。ここまで来ると2箱目のコアセットの方がデッキは強くなるということも念頭に入れておいた方が良いでしょう

最後に


ネットランナーはLCGとしての利点として、上位/下位互換のない横に広い拡張となっています。なのでカードの性能や価値は、相対的には少しづつ変化しているのもの、置き変わったりすることは殆どありません。そのために同じカードが入り続けたり、同じ役割のカードに選択肢がなかったりと不自由な面もあるのも事実です

カードを一通り揃えると「このカードはなぜ存在するのか?」と疑問に思うカードが山ほど出てくるでしょう。そうしたカードの中から、カードシナジーの連鎖によって1枚のパワーカードの効果や性能を上回る組み合わせを発見したとき、あなたは真の意味でランナーになるのです!

2015年11月1日日曜日

第1回 ジンテキ東京トーナメント 決勝トーナメント

ジンテキ東京での初めてのトーナメント戦である、第1回ジンテキ東京トーナメントの決勝ラウンドが10/31 20:30から行われ、2時間半の熱戦が繰り広げられました

動画


決勝ラウンドと決勝戦のそれぞれが動画になっているので、宜しければご視聴下さい。途中配信トラブルにより画面が途切れ途切れになってしまい申し訳ありませんでした



結果


決勝ラウンドの結果は次の通りでした。1度hygogさんに敗れたUnagiPyonさんがルーザーズから巻き返しての逆転優勝となりました、おめでとうございます!


デッキリスト



ランナーサイドはFaustD4v1dで要所のリモートだけ突破し、後はNoiseのID能力で推し進めるタイプで、ニュージーランドのナショナルで結果を残しているデッキです。 ウイルスプログラムは少ないですが、ドローエンジンと圧縮カードによって中盤に高速に回せるようになっています


コーポサイドはアジェンダを取らせて勝つタイプのデッキで、D&Dで追加された24/7 News CycleによってBreaking Newsをスティールしてもしなくてもコーポのターンにタグを2つ与えることでScorched EarthTraffic Accidentでフラットラインを決めることができます。ANR PRO CIRCUITの2位のデッキで、環境のトップメタになりつつあります

参加者全員のデッキリストはコチラにアップロードしました。デッキリストと対戦ログを見くらべてみると面白いかも知れません!?

総評


まずは参加者の皆様、ご参加いただきありがとうございました!

オンラインでの大会ということで、時間調整や操作などプレイヤーの皆様に負担を掛けてしまいましたが、ご協力のお陰でスムーズに大会を運営することができました

大会の方はNoiseとNEHという現行のトップメタのデッキが上位を占めるということで、ガチな大会になったのではないでしょうか(D&Dの魅力?)

普通の意味でのShaperやCriminalが居なかったため、予選も決勝もほとんどコーポ側が勝利ということになりました。少人数のメタとはいえ、やはりNEH(NBN)のスピードに勝てるランナーを作る必要はあると思われます。NoiseがトップメタであるのはJinteki RPをはじめとした中速〜低速デッキにとても安定していることで、NBNには分が悪かったようです。とは言え、序盤の攻め方などデッキタイプによる攻略という点に関しては全体的に改善の余地があると思いました

ジンテキ東京の対戦はログにも残せますし、俯瞰的に見ることができるのでプレイングの見直しなどには向いていると思いますので、ガンガン対戦してプレイングを磨いて下さい(^o^)b

それでは、次回 ジンテキ東京トーナメントにてお会いしましょう!