2015年11月9日月曜日

ネットランナー 世界大会 2015 の感想&解説

いやー今年もネットランナー世界大会がやってきました!

まだ動画を見てない or 結果を知らないという方はTwitchの録画を見てください!ゲームを知らなくても楽しめると思いますよ(^o^)b

注) 準決勝は2:45:00から、決勝は3:38:00ぐらいとなっています



優勝は、なんと前年のチャンピオン Dan D'Argenio さんでした!!2連覇達成おめでとうございます(^^)/

2位は前回世界大会に一人だけ決勝トーナメントにBlue Sunを持ち込み3位だった、ネットランナー界の最強デッキビルダー Timmy Wong さんでした。一人だけ全く違う筋のデッキを持ち込んでこの結果は、すごいの一言ですね

最終結果は↓



チャンピオンの公式のデッキリストはまだ公開されていませんが、ほぼこのリストだろうというものが公開されています

ランナー

 

DLR Val (50 cards)

Valencia Estevez: The Angel of Cayambe

Event (10)
2 Account Siphon
3 Blackmail
3 Inject
2 Queen's Gambit

Hardware (1)
1 Turntable

Resource (34)
3 Daily Casts
3 Data Leak Reversal
3 Drug Dealer
3 Fall Guy
1 Hades Shard
3 Joshua B.
3 Off-Campus Apartment
3 Paparazzi
3 Same Old Thing
3 Scrubber
3 Street Peddler
3 Wireless Net Pavilion

Icebreaker (3)
3 Faust

Program (2)
2 D4v1d

所謂Blackmail DLRというデッキで、コーポがICEをどれだけ増やそうとBlackmailで低いリスクでスティール、もしくはプレッシャーを与えつつ、Account SiphonをFaust/D4v1dで捻じ込んで試合を長引かせ、最後はData Leak Reversalを使ってデッキを落としきって勝つデッキとなります

カードの種類数やSure Gambleさえ選択しない尖り具合ですが、Drug Dealerを2枚置きするとクレジットは貯められないもののWyldside+Adjusted Chronotypeの性能を上回る効率(注: 相手のターンに引くのでカードの利用価値が高くなる)でリグを揃えられるということですね。ICEブレイカーもFaust/D4v1dですから、クレジットを消費しない練られた構築です

Drug Dealerが素晴らしい点はコーポのターンに手札を6枚以上にできることで、Paparazziを排除してからのScorched Earth + Traffic Accidentというコンボが決めづらいことでしょう。そしてタグを2つ以上持つことが可能になるので、Account Siphonでクレジットを抑えれば不完全なリグからでもDLRをスタートできるため、他のDLR Valよりも攻撃的と言えます

TurntableはAstroScript Pilot Programを入れ替えてファストアドバンスを消したり、世界大会で猛威を振るったGlobal Food Initiativeと入れ替えて試合をバックさせたりするために入っています(他のビルドでは低コストなメモリ増設としてリグを揃える目的もありますが、この構築に関してはメモリは不必要です)

Street Peddlerの存在は大きく、これを使うとリソースを任意のタイミングでプレイできます。うまくPaparazziを載せることができれば相手のSEA Source, 24/7 News Cycle or Breaking Newsなどのコンボからの即時負けを防げることも、Butcher Shop NBNがトップメタの環境で生き残れたひとつのキーでしょう

長い間トップメタであるButcher Shopへの解答は、「Clotで丁寧にファストアドバンスを止めて仕掛ける」ことではなく、「ミートダメージでは勝てない状況を作って短期決戦を消し合う」ということだったようですね

さて、もうひとつのトップメタであるHB/ETFはというと、BlackmailとTuringに対してのD4v1dが刺さるようでした。HB側はGlobal Food Initiativeによってアジェンダの枚数が減ったことにより、余程タイミングがよくない限りはCaprice NiseiやAsh 2X3ZB9CYを待たないと置けないので、ETF側は勝つために不利でリスクの高い行動が必須となったようです

新顔のAssasinもD4v1dで上手く回避されるケースが多く、Kateメタが逆にAnarchの速攻に対して寄与している場面も大会では多く見られました

コーポ

 

Foodcoatshop (49 cards)

Haas-Bioroid: Engineering the Future

Agenda (9)
3 Accelerated Beta Test
2 Global Food Initiative
2 NAPD Contract
2 Project Vitruvius

Asset (9)
3 Adonis Campaign
3 Eve Campaign
3 Jackson Howard

Upgrade (9)
3 Ash 2X3ZB9CY
3 Breaker Bay Grid
2 Caprice Nisei
1 Cyberdex Virus Suite

Operation (5)
2 Archived Memories
3 Hedge Fund

Barrier (3)
3 Eli 1.0

Code Gate (6)
2 Enigma
1 Tollbooth
3 Turing

Sentry (8)
3 Architect
3 Ichi 1.0
2 Ichi 2.0


こちらは見た目はクラシックなのに強かったHB/ETF、通称Foodcoatと呼ばれるデッキです

デッキ名から分かるように、D&Dで追加となったGlobal Food Initiativeのおかげで総アジェンダ数が減ったことによりShaperのR&Dマルチアクセスに対する耐性がちょっと良くなったことと、自分は3枚で勝てるけど相手は依然4枚必要というところで勝てない長期戦にならないところで勝負ができるようになったことが大きいです

勝ちパターンは序盤にCampaignを置いてBreaker Bay Gridでレゾをしてクレジットを獲得し、重いICEでブロックしてランナーがリグを揃え始めたところでCaprice NiseiとAsh 2X3ZB9CYを盾にして、速攻でスコアします。Accelerated Beta TestでICEがめくれたら置いて勝ちがほぼ見えますし、Psiゲームで勝ちさえすれば、相手も正面突破で連続ランできるほど簡単には突破できるICEがないので、6割以上の優位さで続くアジェンダをスコアできます

Caprice NiseiをAsh 2X3ZB9CYで守ることができるのが強みで、ランナーはアップグレードをトラッシュすらできずに負け得るということです。アジェンダが置かれていないタイミングでランをしても、クレジットを消費する以上のリスクがIchi 1.0やIchi 2.0から来るということも見逃せませんね

ランナー側から見るとマストランも多いのに、クレジットを削る要素がアセットのトラッシュコストやAsh、CapriceのPsiゲームと複数あって、通常のイージーゲーム展開を作れません。強度が3,4,5という並びで、どれも強烈なセントリー(Architect/Ichi 1.0/Ichi 2.0またはAssassin)を効率良く処理しつつNBNにも対抗できる方法がShaperにはない(注: GS Shrike M2は後半にしか強くなく、1発通すスピードに欠ける)という強みがあります

メタゲームから言えば、NBNをターゲットにするとStealthデッキでは遅すぎて、唯一の天敵であったStealth Andyが消えたことでInside Job、Account SiphonやFarieによる荒らしがなくなりヘビーセントリーがKateやAnarchに突き刺さったと考えられます

Clotが出た段階ではJinteki RPがGlacierデッキのトップであったのですが、Film Criticが出た事でThe Future Perfectの取り扱いが難しくなり、後半の強さもBlackmailに対する解答が全くない上に(注: ETFならABTをスコアしてICEをレゾすることができる)、4/2アジェンダなのでブラフも効かないということで相対的な位置は下がったようです

The Future PerfectのPsiゲームはなくなってもCaprice NiseiのPsiゲームは残ったままで、トーナメントの決着も殆どがPsiゲーム次第という事で、コーポも決して楽に勝てる訳ではありませんが、前のめりにチューンされたランナーデッキに対する安定感は大きいでしょう

 メタゲーム


ネットランナーで最も重要なのはメタゲームです。今大会でのトップ二人のデッキは、事前予想のNEH/HBとKate/Noiseで溢れたプールを、全く異なる争点で勝利をもぎ取った構築での勝利(もちろん運もあるでしょうが)だと言えます

二人は前回の世界大会で上位であったことから、ネットランナーコミュニティーに積極的に関わるようになり(OCTGNでの大会など)、最新のデッキや戦略などが集まるようになった事で激しいトーナメントを勝ち抜けることができたのだと思います。まさに「情報戦」ということですね

Jintekiは突破された後に勝負、NBNは突破される前に勝負、HBは遅いが突破されづらい、Weylandは突破されたらカウンターという基本設定、Shaperはリスクを減らして安全に突破、Criminalは突破しづらいがリスクを避けやすい、Anarchは突破しやすいがリスクが多いという基本設定ですが、カードが増えて選択肢が増えた今となってはかなり曖昧になってきました

カードの枚数的な偏りもなくなり、ようやくネットランナーは深いメタゲームを楽しめるカードゲームとなったことを、この世界大会の結果は物語っているのではないでしょうか?


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