2017年3月24日金曜日

ネットランナー・インフォメーションセンター

お久しぶりです(^^)

最近、人気急上昇中のネットランナー(Android: Netrunner The Card Game)に関する情報をまとめました。これからネットランナーを始めるという方や、どっぷり浸かりたい方、どちらにも役に立てれば幸いです。

ゲーム・ルール


はじめに

まず初心者の方に向けた話ですが、ネットランナーに付属するルールブックは「(原著の段階で)情報のレイアウトの悪さから難読である」とよく言われます。なので、周囲の経験者やプロインストラクターの方からインストしてもらう方が、ルールブックと格闘するより効率的だと思います。

公式ルール・FAQ

公式ルールは2014年12月に一度ホストルール関係で改定されてから変更はありません。日本語版に付属するルールブックは最新の内容を反映しています。

Core Rulebook のダウンロード

基本ルール以外にカードのエラッタや細かいルールの裁定に関しては Android: Netrunner FAQ として公開されています。

FAQ のダウンロード

最新版には対応できていませんが、日本語に翻訳したものを コチラ で配布しています。

大会のレギュレーションが Android: Netrunner Tournament Regulations として公開されています。

Tournament Regulations のダウンロード

このレギュレーションの中でプレイヤーに関係するのは、制限カードリスト(NAPD Most Wanted List)です。強力なカードの一部が影響値の擬似的な追加という形で入れづらくなっています。以下はNAPD Most Wanted List(略称MWL)の和訳です。

NAPD Most Wanted Listは追加の構築制限です。プレイヤーは全てのFantasy Flight GamesのトーナメントにおいてMWLに準拠しなければなりません。

IDカードに印刷されている影響値上限は1より低くなることはありません。
以下のリストにあるカードを1枚入れる毎にIDの影響値上限を1つ減らします。
カードの陣営(ファクション)がIDの陣営と一致していてもIDの影響値上限は減ります。
陣営外のカードの元の影響値はIDの影響値上限に対して本来通り変わらずに数えます。


分かりづらい書き方ですが、要はこのリストにあるカードは陣営関係なく影響値を1つ使うと考えて構いません。(The ProfessorというIDは影響値上限が1なので、それを配慮した記述となっています)

カード枚数の少ない日本語版のみの環境で、この制限リストを導入するかは大会次第ですが、普通にプレイする際には煩雑なので気にしなくても良いと私は思います。

英語版でやっているグループの多くは普段からMWLありの構築をしていて、大会を開催する際は殆どがMWLを採用していますのでご注意ください。

大会でのフロアルールは Android: Netrunner Floor Rules として公開されていますが基本的にはジャッジの裁定に関しての情報なのでプレイヤーはあまり気にしなくて大丈夫です。

非公式FAQ

新しいデータパックのカードなどで公式のFAQが出る前にFFGに問い合わせて得られた回答をまとめているサイトがあります。

The ANCUR Unofficial FAQ

公式の裁定が最優先ですが、普段のプレイや大会を主催する際はUFAQを採用することになると思います。裁定に関してはTwitterなどで質問してもらえれば(出来る限り調べて)随時回答しますし、UFAQなど全部チェックする必要はないと思います。(そして、間違えてプレイしていても問題はありません、楽しくプレイする方が重要なので(^-^))

後述しますが、私がネットランナーのルールに関する情報を収集する際に見るのは、Reddit(Netrunner)NetunnerDBUFAQStimhack(forum) の4サイトです。(BBGは信頼性がなくて、もう見ていません)

大会


公式大会

日本にいるとあまり関係ないかも知れませんが簡単に説明します。

公式大会は4つに分かれています。

  1. Organized Play Kit(大会賞品のセット)を使用した普段の店舗トーナメント
  2. リージョナル・チャンピオンシップ(地区選手権)のシード権をかけたストア・チャンピオンシップ(店舗選手権)
  3. ワールド・チャンピオンシップ(世界選手権)のシード権をかけたリージョナル・チャンピオンシップ
  4. 年に1度行われるワールド・チャンピオンシップ・トーナメント

世界大会となるWorld Championship Tournamentに優勝すると、(1) カードのデザイン権、(2) 優勝デッキのリリース、(3) 世界に一枚しかないプレイマットなどのサプライ、を得ることができますが、残念ながら賞金はありません。

大会が開かれるとFFG社よりプロモカードなどの配布が行われます。日本ではプロモカードをeBayで購入するぐらいしか今のところ関係ないですね。

ローカルな大会とグループ

日本では公式大会はないので、基本的に個人開催の大会となります。以下では過去の実績を含めて載せますが、今後の大会の開催については個別にお問い合わせください。またここには載っていない大会やグループなどありましたらお知らせください。

東京

柏木シティーグリッド (大会)
場所: 新宿・大久保
活動: 〜2015年12月まで
コメント: みらこー氏主催の由緒ある月1開催のトーナメント。コアセット発表時からとのことで国内最長開催の大会。大会プロモも出ていた、理想的な国内大会。大会の模様はこちら

アンガスシティーグリッド (大会)
場所: 新宿・大久保
活動: 2016年4月〜2016年11月まで
コメント: 柏木シティグリッドの中断を受けて、ネットランナー復帰組のアンガス氏の主催による月1トーナメント大会。諸事情により中断中。

柏木ミーティング (仮称) (グループ)
場所: 新宿・大久保
活動: 〜2016年11月まで(何回かの中断を含む)
コメント: 月1、2度程度金曜日に集まってネットランナーをするグループ。柏木シティーグリッド常連による、わからん殺しとネタデッキの集い。

アヤバネシティーグリッド (大会)
場所: 新宿・大久保
活動: 2017年3月〜
コメント: ネットランナー界のプロフェッサーこと綾羽氏の主催による月1トーナメント大会(予定)。

ロロステ大会
場所: 千代田区・秋葉原
活動: 2016年3月〜 2016年10月(中断)
コメント: 日本語版オンリーの店舗主催の大会。アークライト(FFG代理店)の直営店による、公式の大会賞品などもあって賑わっていました。諸事情により中断中。

大手町シティーグリッド (Netrunner Tokyo) (グループ)
場所: 千代田区・大手町
活動: 2014年4月〜
コメント: Simon氏主催の週1の集会。様々な国のメンバーが集まりネットランナーや色んなゲームで遊んでいます。

神奈川

Camp Zama Pubrunner (大会)
活動: 2015年〜
場所: 座間市
コメント: 不定期に行われるネットランナーの大会。場所はキャンプ座間という米軍基地で入場にはパスポートが必要ですが、日本にはない雰囲気のパブで広々と対戦ができます。円が使えるし、そこら辺の人は日本語話せるのでお気軽に!?

千葉

09シティーグリッド (グループ)
場所: 柏市・柏
活動: 2017年3月〜
コメント: ミニチュアゲームからネットランナー界に参戦のダイスケ氏主催の集会。Mr. Fieldというミニチュアゲーム専門店の広い卓で目一杯プレイマットを広げてプレイできます。

大阪

Village Games (グループ)
場所: 池田市
コメント: X-Wing勢がネットランナーをプレイされているようです。

Kansai Netrunner (大会・グループ)
場所: 大阪市
活動: 2014年11月〜
コメント: イラストレーターのA.C. Galaga氏主催のコミュニティ。イエローサブマリンでの初心者向けコアセットの大会や、キューブドラフトなどを開催。

ボードゲームショップDDT
場所: 大阪市
活動: 2016年8月〜
コメント: 定期的にネットランナーの体験会を開催されているお店です。常連の日本チャンプの方が対戦してくれるとのこと(^^)

オンライン

金曜Jinteki.net会 (グループ)
場所: jinteki.net
活動: 2017年3月〜
コメント: 金曜21:00から行われるjinteki.netでの対戦会。色んな地域の人が集まってやっています。

データパック


ネットランナーはLCG(Living Card Game)というシステムで、月に1回の間隔で拡張パック(ネットランナーではData Pack/データパックと呼ばれる)をリリースするシステムとなっています。

日本語版の状況と英語版の状況はかなり異なりますので、個別にページを設けました。

日本語版ネットランナー購入ガイド2017
英語版ネットランナー購入ガイド2017

サプライ


公式なサプライは次の2つの商品です

  1. アートスリーブ全6種 (リンク)
  2. プレイマット全4種+二人用プレイマット(リンク)
この他、プレイマットは大会の上位賞品として様々な絵柄のものが配布されていますが、eBayなどで入手が可能です。

非公式なサプライとしてメジャーなのがアクリルトークンです。
  • Team Covenant : Data Tokens (リンク)
  • Broken Eggs : Cyber Punk Tokens (リンク)
  • PennyGems Tokens (リンク)
  • Etsy : 個人のハンドメイドによるトークン (リンク)
など探すと色々出ています。

その他


オンライン対戦

jinteki.netという有志が開発してフリーで公開されているオンライン対戦サービスがあります。

全自動というほどシステムは実装されていませんが、普通にプレイするのに問題がないレベルまでカードルールが実装されています。

動画

ネットランナーの対戦動画は様々ありますが、その中でもオススメを紹介します。
  1. Metropole Grid (Youtube) - 大会動画とjinteki.netの対戦動画
  2. PeachHack (Youtube) - US最大手の大会のストリーム配信と動画
  3. Team Covenant: NetrunnerLCG (Youtube) - 世界大会の解説付き実況動画など
  4. beyoken channel (Youtube) - 解説付きjinteki.net対戦動画。最新の環境での実践的なプレイを知るのに最良
この他、最近ではTwitchで大会をストリーム配信することも多いので検索してみてください。(例えばvttvliveなど)

Androidユニバース

NetrunnerはMTGのデザイナーであるリチャード・ガーフィールド作のカードゲームですが、Android: Netrunnerは元祖NetrunnerにAndroidというSFフレバーで再構成されたものです。

Androidのフレバーを持つボードゲームは複数リリースされています

最近では小説設定資料集などがリリースされ、ゲームの背景を知る事ができるようになりました。

日本語版ネットランナー購入ガイド2017

(注) この記事は2017年3月時点の最新状況による内容となります

日本語版のネットランナーがリリースされてから1年経過して、様々な状況の変化がありました。ここでは日本語版のカードに限定して、発売スケジュールや商品の内容について解説をしたいと思います。

リリースについて


現在販売されているのは以下の3商品となります。


  1. アンドロイド:ネットランナー 完全日本語版
  2. アンドロイド:ネットランナーWC2015ランナーデッキ「バレンシア」 完全日本語版
  3. アンドロイド:ネットランナーWC2015コーポデッキ「未来工学」 完全日本語版

(1)の製品は通称コアセットと呼ばれる、最初に購入する基本セットになります。カード以外にルールブックやゲームに使用するトークンなどが同梱されています。

(2)、(3)の完成済みのデッキは、2015年の世界大会での優勝デッキをフルアート枠のカードで販売しているものです。日本語のみに限れば現在唯一リリースされている拡張ですが、カードしか入っていませんので、トークンなどは別途用意する必要があります。

次に、発売予定の商品は以下の10商品となります。

  1. アンドロイド:ネットランナー 拡張 創造と支配 完全日本語版
  2. アンドロイド:ネットランナー 拡張 名誉と利潤 完全日本語版
  3. アンドロイド:ネットランナーWC2016ランナーデッキ「フィザード」 完全日本語版
  4. アンドロイド:ネットランナーWC2016コーポデッキ「メッセージの支配」 完全日本語版
  5. アンドロイド:ネットランナー 拡張 ダイダロス複合施設データパック 完全日本語版
  6. アンドロイド:ネットランナー 拡張 ステーション・ワンデータパック 完全日本語版
  7. アンドロイド:ネットランナー 拡張 地球の末裔データパック 完全日本語版
  8. アンドロイド:ネットランナー 拡張 血と水データパック 完全日本語版
  9. アンドロイド:ネットランナー 拡張 フリー・マーズデータパック 完全日本語版
  10. アンドロイド:ネットランナー 拡張 クリムゾン・ダストデータパック 完全日本語版

(1)、(2)は所謂大拡張と呼ばれるもので、ランナーとコーポそれぞれ1つの陣営のカードが一通り封入された拡張になります。コアセットと合わせれば、大拡張で増えた陣営のデッキ構築幅がぐっと増える事でしょう。

(3)、(4)はチャンピオンデッキの2016年版です。リリースは夏以降になると予想されますが(これは英語版のリリースと同じと考えられる為)、2015年版と同様に有用なカードを多く含む完成されたデッキとなります。

(5) ~ (10)は日本語版の初の継続的リリースとなる小拡張シリーズ(Red Sandサイクル)となります。これは英語版とほぼ同じスケジュールでリリースされる、文字通りの最新拡張となります。最初の小拡張は2017年4月を予定しているとの事です。

レビュー


コアセット

252枚のカードと、ルールブック、トークンが入っています。

ゲームとしては同名カードは3枚まで使えるのですが、コアセットに限っては1枚、2枚、3枚とカードによって封入枚数が異なります。基本的に1セットで対戦可能ですが、封入枚数の少ないカードは強いカードのため、2箱目を購入する意味があります。

またネットランナーのパワーバランスとして、コアセットのカード群は拡張よりも強い設定のものが多く、実はコアセットだけでも上手く構築してきっちりプレイすると最新のデッキともそれなりに戦う事ができます。

まずはコアセットを購入して、経験者からインストを受けることを勧めます。非対称なゲームで覚える事が多く、ゲーム自体も奥深いものとなっているので、ゲームの本質を知るためにも最初が肝心というのが経験としてあります。

大拡張

それぞれ165枚のカード(同名カードは3枚ずつ、全55種類)が封入されています。

ランナーとコーポの争いをテーマとしたセットになります。

  1. シェイパー(Shaper) vs ハース・バイオロイド(Haas Bioroid) : 創造と支配 (Creation and Control)
  2. クリミナル(Criminal) vs ジンテキ(Jinteki) : 名誉と利潤 (Honor and Profit)
  3. アナーク(Anarch) vs ウェイランド(Weyland) : Order and Chaos
  4. 中立ランナー vs NBN : Data and Destiny

上記の計4つが英語版ではリリースされていますが、現在(1)と(2)が日本語版の発売予定となっています。

英語版の環境を基準に言えば、(1) 創造と支配 はランナーのクレジットを獲得する必須レベル級のカードが入っています。他はどのパックもIDが3種類ずつ入っていて、計画書(Agenda)やアイス(ICE)、アイスブレイカー(Icebreaker)など豊富に入っている為、ゲーム性も構築幅も一気に増える事でしょう。

この中で(4)はまだ発売予定はありませんが、現状では日本版に限定するとカードが少なすぎて恐らく中立ランナーのデッキを組むのは困難だと思います、ご注意下さい。(もちろん大変魅力的な拡張ですが...)

チャンピオンデッキ



現在販売中の2015年チャンピオンデッキと発売予定の2016年チャンピオンデッキがあります。構築済みのデッキで45枚から49枚のカードが封入されています。

チャンピオンデッキは優勝デッキなので、当時は最も強いデッキだったということになります。その為、チャンピオンデッキに封入されるカードはどれも一線級のカードばかりで構成されていますし、構築済みなのでそのまま対戦することもできます。特に枠のないフルアートのカードはコレクションアイテムとしても優秀です。

日本語環境で言えばリリースされている唯一の拡張です。2015年WCのコーポデッキはとてつもなく堅いデッキで、恐らく日本語版のカードだけではどのランナーも相手にならないと思います。また2015年WCのランナーデッキはR&Dを落とすデッキで、これもまた面白いデッキではあるものの標準的なランをしないデッキで、WC以外のデッキとやるのは少し難しいと思います(そもそも廻す事自体難しいので、そういう意味でバランスしている試合も良く見かけますが...)

英語版の全拡張込みの対戦ならどちらもイーブン以上に戦える(というよりかなり強い)ので、環境を選んで対戦することをお勧めします。


小拡張

待望の日本語版の拡張(Red Sandサイクル)がリリースされます!

各拡張は60枚(同名カードは3枚ずつ、全20種類)のパックとなります。


テーマは火星で、各コーポは火星でも大企業として火星の開拓に貢献している一方で、火星の支配を企んでいます。火星でのランナーは地上とは異なる生活環境にありながら、クローンやバイオロイドが法に縛られず融合した曖昧な"人間性"の中で企業と対立しています。



日本語版オンリーのゲーム環境やバランス面は全く分かりませんが、カードプールが広くなくて同じスタートラインに立って始められる絶好のチャンスです!


LCGの魅力は様々あると思いますが、個人的に良いと思うのは月に一回リリースされるたびに新しいカードを入手して、それが新しいデッキを構築するモチベーションになり、それが対戦会などに足を運ぶ原動力となることです。そして環境が毎月変わることで、常に新しいゲーム展開を楽しめます。

最後に


最近、ネットランナーを始める人が増えています!...理由は分かりませんが(笑)

TCGなどカードゲームが好きな人、ボードゲームが好きでBBGランキングで上位にあるから始めた人、対戦型のミニチュアゲームが好きでカードゲームを始めた人...などなど、色んな背景で始めた人がネットランナーというゲームを通じて繋がってとても面白い状況になっています。

まずはコアセットから初めてみませんか?(^-^)b

英語版ネットランナー購入ガイド2017

前回購入ガイドを投稿してから1年以上過ぎました。

この間、MWLという制限カードの導入や、新たに2サイクルがリリースされたこともありかなり環境が変化しました。また、半年後には初のローテーションも予定されています。

前回は「全部一気に買わなくても、半分も揃えれば満喫できるよ」ということで、ゲームを始めたての方向けの参考にでもなればという思いで記事を書きました。

今回更新するに際して、全体を知らない新規参入向けだけでなく、復帰した人やお付き合いでやる人など、様々な背景に配慮したいと思いました。そして拡張に求める内容の違い、例えば大会で勝てるガチなデッキがいいとか、好きな陣営だけ揃えたいとか、お気に入りのデッキを強化したいなどスタイルを反映するにはどうすれば良いか考えました。

データパックの紹介とカード評価とは別に、どのようにデッキを構築するかという目線の違いによるコメントをつけることにしました。全体としては長くなりますが、参考になれば幸いです。

まずは商品展開やゲーム環境の変化について解説します。

ローテーションについて


FFG社は2014年にLCG製品に関してローテーションを設定すると発表しました。拡大し続けるゲーム環境は健全に保つのが難しく、初心者の参入が難しくなるからというのが理由です。

ローテーションは(環境上に残る)8番目のサイクルのリリース時に、一番古いサイクルと二番目に古いサイクルの2つが同時に落ちるというものです。大拡張はローテーション落ちはしません。常に5〜7サイクル分のカードを利用可能で、それ以上カードプールは増えないということです。


なぜ2サイクル同時に落ちるのか?というのは疑問に残りますが、2サイクル分はおよそ1年分のリリースに相当すると考えれば、1年ごとにローテーションするという意味合いなのかと思います。

具体的には2017年の秋頃に8番目のサイクルがリリースされる予定ですが、その際にGenesisサイクルとSpinサイクルが同時にローテーション落ちするということです。以降、同様に1年ぐらいの間隔で2サイクル増えて、2サイクル落ちるを繰り返します。


と、ローテーションについて説明しましたが、自分は以下の理由で気にすることはないと考えています。

  1. 実際にローテーションをさせるかは分からない(FFG社はAsmodee社に吸収合併され、当時の方針が有効か分からない為)
  2. 日本では今の所、FFG公式大会は存在しない
  3. 今、試したいデッキがあるなら、今、拡張を買うしかない!

日本に於いては輸入品な上に結構な数の拡張が出ていて揃えるのに費用が掛かるこのゲームに部分的でも参加してもらえるだけで、既存プレイヤーはありがたいと思っています。そういった理由で、各プレイヤーごとの状況に出来るだけ合わせるように、周りの熟練プレイヤー達も配慮してくれますので、まずは自分の気に入ったデッキが組めるように集めてくれればと思います。

MWLについて


2016年1月より制限カードリストとなるMost Wanted List(通称MWL)が導入されました。詳しくはコチラを参照してください。

この制限リストがどれほど環境に影響したかというと、環境上位にあったデッキをいくつも構築不能に追いやりました。有名どころでは、Astro SanSanと呼ばれた最強のファストアドバンスデッキは《AstroScript Pilot Program (Core Set)》と《SanSan City Grid (Core Set)》の制限やエラッタにより消滅(《AstroScript Pilot Program (Core Set)》がデッキ1枚制限になったため)、Eventのクレジットカードを《Pre-Paid Voice PAD (Second Thoughts)》でプレイして高速で大量のクレジットを稼ぐPre-Paid Kateは《Pre-Paid Voice PAD (Second Thoughts)》や《Clone Chip (Creation and Control)》の制限により価値を失って壊滅しました。

ところで、私はこの制限リスト(の仕組み)が良かったのかは未だに分かりません。一部の強デッキは確かに消えましたが、Net Deckのようなアプリなしには構築する気が起きない程に面倒になったと思います。(私は日本語版のみの環境ならMWLは無視した方が良いと思いますし、チャンピオンデッキを崩したりする必要はないと考えています)

今回のパック評価にMWL1.1の内容をつけました。MWL自体は近々改定される予定なので、そちらもチェックしてください。

購入ガイド


はじめに

前回の購入ガイドは、初心者向けにできるだけ情報を減らして伝えるように工夫しましたが、今回は全拡張の評価を現在の環境を基準に行いました。

評価はトーナメントでの上位デッキの分析を行っている Know The Meta の統計情報を参照し(以前は自前で集計したものを利用していました)、上位のデッキに採用されていたり、全体で採用率が高いカードが多く入った拡張を高得点としています。トーナメント上位にないがデッキタイプとしては有名で使われているカードといった、汎用性の低いカードを含む拡張は得点ではなく、コメントにより評価しています。

また勝手ではありますが、デザインテーマや環境上の立ち位置などユーザー視点で感じた内容もコメントしています。

構築スタイル

デッキの作り方は様々ですが、典型的には以下のようなスタイルがあると思います

  1. 流行りのデッキをコピーする、ネットデック(NetDeck)構築スタイル
  2. ベースのデッキを差し替えて強化する、グッドスタッフ(Good Stuff)構築スタイル
  3. 好きな陣営(faction)で構築する、カラー構築スタイル
  4. あらゆるカードのコンボを研究したい、やり込み型構築スタイル

私はネットランナーの構築スタイルとしては(4)のやり込み型構築スタイルになります。全部のカードを一回は使いこなしてやろうというモチベでやっています。とは言え、初期はNetrunnerDBのようなサイトから優勝デッキなり面白そうなデッキをコピーして廻していたので、最初は(1)の構築スタイルでした。

今回は、それぞれのスタイルに合うように意識して評価やコメントをしています。例えば、特定のデッキをコピーする場合に参考になるように、キーカードが含まれている拡張のコメントに有名なデッキのリンクを貼ったりしています。

サイクル

現在7サイクルが販売されています。

  1. Genesis (2012/12 ~ 2013/6)
  2. Spin (2013/10 ~ 2014/3)
  3. Lunar (2014/7 ~ 2014/12)
  4. SanSan (2015/4 ~ 2015/9)
  5. Mumbad (2016/1 ~ 2016/6)
  6. Flashpoint (2016/7 ~ 2017/1)
  7. Red Sand (2017/2 ~ 現在)
リリースは月に1回サイクルは6個なので、6ヶ月で1サイクルが出ることになっています。サイクル間は大拡張が出ていましたが、今の所はキャンペーン拡張(Campaign Expansion: Terminal Directive)が、従来の大拡張に相当するものになると予想されます。

全体的に言えば、サイクル内でシナジーを形成することは稀なため、サイクルを揃えるよりは気に入った拡張を選んだ方が初期段階では良いと思います。

注意事項(?)

拡張1個買ったら、2個買うのも同じだし、結局は全部揃えちゃうと思いますよ(*´罒`*)
(が、何かしらの優先順位の参考にでもなれば...と思います)

ランキング

Know The Metaのトーナメント上位に含まれる割合から点数化(>50%: 16点、>25%: 8点、>13%: 4点、>7%: 2点、>4%: 1点、残り0点)として独自に集計したデータパックランキングはコチラで参照できます。



購入オススメ順

これから拡張を揃える人には、次のような順番をオススメしています

大拡張4種 → チャンピオンデッキ2種 → 小拡張(随時)

大拡張


大拡張を勧めるのは、カードの揃い方がまとまっていてデッキを組みやすく対戦しやすいからです。また汎用的なキーカードが多く含まれているため、気に入った陣営があるならばその大拡張は必須と言えます。

中でもCreation and Controlはランナーの中立(Natural)パーツが豊富で長期的に使われるカードが多いです。例えば《Daily Casts (Creation and Control)》《Dirty Laundry (Creation and Control)》《Same Old Thing (Creation and Control)》など、トーナメント上位での採用率が50%以上です。

Data and Destinyだけはデッキを構築するために中立(Natural)カードを沢山必要とするため購入を後回しにした方が良いと思います。

チャンピオンデッキ


現在は2015年の世界大会優勝デッキ(チャンピオンデッキ)のランナー、コーポの2種が販売されています。

Jackson Howard (Opening Moves)》、《Global Food Initiative (Data and Destiny)》のようなコーポの採用率が80%を超えるカードも入っていますし、カードもフルアート(枠なし)なのでコレクション性も高いものとなっています。ランナーは《Daily Casts (Creation and Control)》や《Same Old Thing (Creation and Control)》などが入っているため、大変お得です。

完成済みデッキなので構築幅を単独で持ちませんが(そしてランナーデッキはかなり特殊です)、クレジット源のカードや汎用的な計画書(Agenda)が入っているため複数デッキを作る際にも都合の良いパックと言えます。

小拡張

トーナメントの上位デッキの採用率を元にカードごとにポイント方式でランキングを作りました。
以下では、そのランキング上位のパックについて解説します。(カッコ内は評価と注目カード)

必携パック

1. Blood Money (Flashpoint) (☆☆☆☆☆) (《Temüjin Contract》《Paperclip》《Rumor Mill》《Beth Kilrain-Chang》)
2. Future Proof (Genesis) (☆☆☆☆) (《R&D Interface》《Eli 1.0》《Project Beale》《Faerie》《Midseason Replacements》)
3. Quorum (Flashpoint) (☆☆☆☆) (《Aaron Marrón》《Şifr》《Macrophage》)
4. What Lies Ahead (Genesis) (☆☆☆☆) (《Plascrete Carapace》《Imp》《ZU.13 Key Master》《Ash 2X3ZB9CY》)
5. Martial Law (Flashpoint) (☆☆☆☆) (《MKUltra》《Friends in High Places》《IP Block》)

これらは陣営(faction)を選ばず採用率の高いカードを含むパックとなります。

ローテーション落ちをするとは言え、現状もGenesisサイクルにある3/2計画書(Agenda)が重要な状況は変わりません。リスクと得点の配分としては依然として優秀で、またデッキに計画書(Agenda)を必ず入れなければならないからです。Genesisサイクルをローテーション落ちという理由で購入しないならば、3/2計画書(Agenda)のポジションは《Corporate Sales Team (Business First)》が代わりになると思います。

Blood MoneyとQuorumはどちらもランナーのカード強く最強クラスのものが封入されています。《Temüjin Contract (Blood Money)》を筆頭にしたパワーカードがどういう点で良いかというと、プレイの幅も構築の余裕も広げてくれることだと私は感じています。

初心者の方は、まずクレジット源がとにかく豊富なデッキを廻して、クレジットでリスクが回避できるプレイを身につけるとストレスなく対戦できて良いと思います。それからインストールするカードやレゾするカードを増やしていくと、適切なトレードオフの地点が見えてくると思います。クレジットが枯渇してしゃがむだけのターンとかはどう考えても面白くありませんから...(^^;

汎用パワーカードパック

6. Double Time (Spin) (☆☆☆☆) (《NAPD Contract》《Caprice Nisei》《Lucky Find》《Quandary》)
7. Salsette Island (Mumbad) (☆☆☆☆) (《Salsette Slums》《Cobra》《Sports Hopper》《Jeeves Model Bioroids》《Mumbad Virtual Tour》)
8. Opening Moves (Spin) (☆☆☆☆) (《Jackson Howard》《Celebrity Gift》)
9. Escalation (Flashpoint) (☆☆☆☆) (《Black Orchestra》《BOOM!》《Fairchild 3.0》)
10. The Liberated Mind (Mumbad) (☆☆☆☆) (《Exchange of Information》《Vanilla》《Rebirth》《The Turning Wheel》)

これらはデッキや陣営をある程度選ぶものの、広く使われているパワーカードが含まれているパックです。

Jeeves Model Bioroids (Salsette Island)》《BOOM! (Escalation)》《Exchange of Information (The Liberated Mind)》はデッキコンセプトになるカードで、トップメタでもあります。

Quandary (Double Time)》や《Vanilla (The Liberated Mind)》といった「ランの終了」を持つ低コストアイス(ICE)は広く使われています。

グッドスタッフパック

11. Democracy and Dogma (Mumbad) (☆☆☆☆) (《Sensie Actors Union》《Political Operative》《Commercial Bankers Group》)
12. Breaker Bay (SanSan) (☆☆☆☆) (《Career Fair》《Turing》《Breaker Bay Grid》《Crick》)
13. Humanity's Shadow (Genesis) (☆☆☆☆) (《Kati Jones》《Quality Time》《Eve Campaign》)
14. Cyber Exodus (Genesis) (☆☆☆☆) (《Pop-up Window》《Project Vitruvius》)

これらはパックのコンセプトが良く、広く採用されるグッドスタッフの多いパックです。

Politicalの資財(Asset)を持つDemocracy and Dogma、サーバー指定型アイス(ICE)を持つBreaker Bayはカードデザインの良さからどの陣営のカードも採用されています。

またトップレベルの強さはないものの《Career Fair》や《Kati Jones》などクレジット源となるカードは採用率が高いです。

陣営毎のオススメ

ここから先はIDで選んだり、デッキのコンボパーツとして選んだりすることになると思います。ここでは陣営で良く使われるカードとそのパックを示します。ここまで紹介した小拡張は含みませんので、次なるパックを選択する際の参考にしてください。

Anarch: The Underway /《Faust》, The Valley /《Clot》(メタカードとして)
Criminal: Kala Ghoda /《Mongoose》, Daedalus Complex /《Exploit
Shaper: All That Remains /《Cerberus "Lady" H1》, Old Hollywood /《Film Critic》(メタカードとして), True Color /《Sharpshooter

HB: Up and Over /《Architect》, The Universe of Tomorrow /《Team Sponsorship
Jinteki: Upstalk /《Lotus Field》, Trace Amount /《Fetal AI
NBN: True Colors /《Sweeps Week》,  Fear and Loathing /《Wraparound》, All That Remains /《Daily Business Show》、23 Seconds /《Hard-Hitting News
Weyland: First Contact /《Crisium Grid》, Daedalus Complex /《Oberth Protocol》, Chrome City /《Oaktown Renovation

個別のサイクル評価

トレンドを反映してパック毎にコメントをつけています。ご参考になれば幸いです。

  • Mumbad サイクル評価(作成中)
  • Flashpoint サイクル評価(作成中)
  • Red Sand サイクル評価(作成中)


おわりに


私もミニチュアゲームというものを最近始めてみて思ったのですが、歴史のあるゲームに途中から参加する場合やゲーム全体を追っかける(購入する)のが難しい場合に、どうしたら良いかはかなり悩みます。特にゲームのパワーバランスや拡張のコストパフォーマンスは、当たり前ですが初心者には分からないことです。

なので「みんなが使っている!」「強い!」とだけ書きました。ネットランナーに於いては、ほぼ強いカードはデッキの廻りとプレイの幅を持たせるカードです。そういった意味でも、まずいくつかのクレジット源とドロー系のカードを揃えてから、後はカード毎の興味で揃えていくのが良いと思います。逆に言えば、パワーインフレで追いつけないほどカードパワーが離れているということは今のところありません。

「なんで、このカード印刷されたんだ?...」となったら、もうこの沼からは抜け出せません、気をつけて下さい(๑˃̵ᴗ˂̵)و