一般的なゲームの例(マジック:ザ・ギャザリング)
例えばMTGを例にして、リソースシミュレーションをしてみました。デッキ枚数60、土地枚数26で毎ターン土地をセットし、ターン経過で得られるマナと累積を計算すると次のようになります。ターン | マナ | 累積マナ |
---|---|---|
1 | 0.99 | 0.99 |
2 | 1.96 | 2.95 |
3 | 2.88 | 5.83 |
4 | 3.73 | 9.56 |
5 | 4.50 | 14.07 |
6 | 5.19 | 19.25 |
7 | 5.80 | 25.05 |
8 | 6.35 | 31.41 |
9 | 6.86 | 38.27 |
10 | 7.34 | 45.61 |
11 | 7.80 | 53.41 |
12 | 8.25 | 61.65 |
13 | 8.68 | 70.33 |
14 | 9.11 | 79.44 |
15 | 9.54 | 88.98 |
この表から色々なことが言えますが、特に注目したいのは累積マナです。15ターン目には手札とプレイした土地を引くと、7+15-9=13枚のカードがあることになります。MTGの平均プレイコストは3〜4程度なので、累積マナ(88)と比較すると13x4=52という数字は15ターンまでに持っているカードを全てプレイ可能ということが言えます。
実際の感覚としても手札が切れることはあっても余ることは少ないのですが、これは「カードネック(リソースネックではない)」ということです。
ネットランナーの場合(ランナーサイド)
クレジットネック
Stimhackの優勝デッキを調べると、ランナーデッキの総プレイコストは平均92( 45枚)であることが分かりました。仮に全てのカードをプレイするために必要なターン数を考えると、(1) カードを引く、(2,3) クレジットを得る、(4) プレイする、として45ターン程度必要となります。
従って、現実的に全てのカードを消費することは出来ないのが普通で「リソースネック(クレジットネック)」と言えるわけです。
一歩進めて、代表的なクレジットを得るカード(Sure Gamble/Daily Castsなど)によって得られるクレジットの総数を優勝デッキに関して調べてみると、平均で44クレジットであることが分かりました。これを考慮しても現実的に全てのカードをプレイすることはできないことは明らかでしょう。
プレイ順序と滞留
MTGではカードをおよそ全てプレイすることが可能なので、「いつプレイするか?」しか悩むことはないでしょう(土地事故は例外としてあります)。しかし、ネットランナーに於いてはクレジットネックであるが故に手札の飽和という問題が現れます。
基礎アクションだけでは「2コストのカードを4クリックで処理する」ことしかできません。これから
- コスト2は"重い"カード
- コスト3以上は"貯金"が必要
- 手札にカードが滞留する
カードのプレイに"貯金"が必要ということは、実際問題としてカードのプレイには順序制限が存在する(例: Sure Gamble→R&D Interface) ということです。このような制約があると、プレイの前程を満たすカードが来ない限り手札で待機することになります。残念なことに手札上限は5枚なので、カードを引いて探した場合多くのカードは使われないまま捨てられることになります。
ボトルネックを解消するカードは高パフォーマンス
ビジネスの話ではありませんが、ボトルネックを解消するカードは相対的に入れるべきカードになるでしょう。Infiltrationの0コストで「+2クレジットまたはカードを1枚公開する」は、他のゲーム目線ではそんなに強さを感じませんが、クレジットを増加させて簡単に手札から処理できるだけで比較的強いカードと言えます。
他にも手札の上限を増やすのも強いと言えます。Origami/Box-Eは地味な存在ですが、プレイタイミングの制約があるカードが多く入ったデッキにとても良くマッチします。The Supplier/Personal Workshopといったクレジットの支払いタイミングを遅延できるカードも擬似的に手札上限を増やしているのでボトルネックを解消することができます。
デッキが廻る例、廻らない例
廻る例) Personal Workshop (+ Replicator) + Silencer / Lockpick + 各種Stealth Icebreaker
SilerncerやLockpickは回復するクレジットなので、クレジットの消費の観点から見てもコストが小さいです。さらにこれらのカードが必要になるのは各種Icebreakerを引いた後ですが、Personal Workshopを使えば不要なタイミングでのクレジット消費はありません。流れるようにコンボが決まるでしょう。
廻らない例) Dinosaurus + Yog.0
たった2枚のカードのコンボですが、ほとんど決まりません。計10クレジットを獲得するためにSure GambleやDaily Castsといったカードを少なくとも2つプレイしなければなりません。更にYog.0はDinosaurusの後にプレイしなければならず、先に引くと手札の上限-1に等しい状況になり、間接的にプレイに影響します。
まとめ
ネットランナーはクレジットネックなゲームであることについて解説しました。一番気をつけなければならないのは、手なりでカードを置いてジリ貧な状況を作らないようにすることでしょう。不要なIcebreakerを置いたり、クレジットを枯渇させたりして本来プレイ可能なSure Gambleをプレイできず、クレジットを獲得するためにクリックを消費する...ということは良くある失敗です。
またプレイ制約に関しては構築で決まるため、プレイする前からやりたいことができないデッキになることも良くある失敗です。上手な構築のパターンについては次回解説をしたいと思います。
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